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近年の美容室の廃業率は?
独立開業を目指す美容師の方は少なくありません。自分の店舗を持つことは美容師にとっての夢だといえるでしょう。
しかし、美容室の廃業率は1年で40~50%、3年で90%、10年で95%といわれています。
逆にいえば10年以上続く美容室はたったの5%なのです。さらに帝国データバンクの統計によると2019年度の理美容業者の倒産件数は、新型コロナウイルスの影響もあり180件と過去最多になっています。
そんな厳しい状況に立たされている美容業界ですが、本記事では美容室の廃業理由と廃業に必要な手続きを紹介していきます。
美容室が廃業する理由TOP3
廃業理由①資金が足りていない
美容室を経営していくうえで必ず必要になるのが、日々発生する水道光熱費や人件費などの固定費用です。これらの運転資金を用意できていないと、営業を続けていくことができなくなりますよね。
開業時には物件の購入費用や内装費などで多額の資金が必要になります。しかし、その後の運転資金をきちんと用意しておかなければキャッシュが底を尽き、そのまま閉店なんてことにも。開業前にどこにどれほどの資金が必要なのか必ず確認するようにしましょう。
廃業理由②美容室の経営知識が乏しい
そもそも、美容室を経営していくための経営知識は、美容師としての技術や経験とはまったく別物です。雇われて働いている間にいくら指名客を抱えていようが、開業後はまったく別のスキルが求められることを理解しておきましょう。
開業前に売上や費用などのお金の流れや、リスクヘッジの方法などの経営知識は必ず勉強するべきです。
例えば、90%の美容室は開業1年目は赤字になるといわれています。事業計画はこの事実を踏まえたうえで作られるべきですよね。しかし、経営知識を全く持っていなければそれも不可能です。
「開業後に勉強を始めればいい」という考えでは間に合いません。経営知識に乏しかったために、廃業に追い込まれるケースも多く存在するということを忘れないでください。
廃業理由③美容室の広告・宣伝が不十分
せっかく美容室を開店しても、その存在を知ってもらわなければ人を呼び込むことはできません。特に開店直後は新規顧客の獲得が重要になってきます。
店を広く知ってもらうためには宣伝が効果的ですが、同時に宣伝広告費が発生することも考えておかなければいけません。
ここまでで紹介した廃業理由にも通じる点ですが、宣伝費を十分に確保できているか、効果的な宣伝を打てるかは、資金力や経営ノウハウに大きく左右されます。たかが宣伝と侮らず、事業計画を綿密に立てましょう。
美容室の廃業手続きに必要な準備
関係各所への通知
トラブルを避けるために「どこに」「いつまでに」廃業することを通知しなければいけないのか必ず確認しましょう。
物件を借りている場合は契約書を確認して、退去日のどれくらい前に解約通知を出す必要があるのかをチェックします。そして期限に間に合うように解約通知を貸主にしてください。
また、スタッフへの解雇通知も忘れてはいけません。これは解雇の30日前までに通知してください。この30日間は解雇予告期間といい、これが30日未満の場合は解雇予告手当を支払わなければならないからです。迷惑を掛けないためにも、シャンプー・スタイリング剤の仕入れ先やお客様にも必ず通知してください。
突然の通知は相手の負担になるだけでなく、手続きがスムーズに進まなくなったり、通知をし忘れたりといったことの原因になります。すべての手続きにいえることですが、直前に行うのではなく、余裕をもって終わらせるようにしましょう。
美容室の廃業届等の書類の提出
まず、管轄の税務署に対して「個人事業の廃業届出書」を提出します。国税庁のHPでテンプレートをダウンロードできるので、そこに記入して郵送か直接持参で提出してください。
次に「給与支払事業所等の廃止届出書」を提出する必要があります。これはスタッフを雇用していた場合に提出しなければいけない書類です。こちらも国税庁のHPからダウンロードできます。
また、所得税を青色申告していた場合は、「所得税の青色申告の取りやめ届け出書」の提出が必要になります。他には消費税を支払っていた場合は「消費税の事業廃止届」を提出しなければいけません。
内容に不備があると、何度も修正することになるので分からない部分は税務署に確認しながら作成を進めましょう。
【必見】美容室廃業までにできること
退去後の店舗を原状回復工事をして大家さんに返すとなると、さらに費用が掛かります。そこで、美容室を廃業する際の費用負担を少しでも軽減するための手段を紹介します。
美容室廃業までにできること①居抜き販売
美容室を居抜きで譲ることで、備品の処理や原状復帰にかかる費用を節約したうえで、売却した分の利益も得ることができます。
美容室を居抜きで販売する際はこちらのサイトを登録しておくことをおすすめします。
サロン不動産ネットは、美容室の出店を予定している方と売却・M&Aなどを考えている方、そして不動産会社をつなぐ国内最大級の情報サイトです。
退去するときの選択肢の一つとして覚えておいて損はないでしょう。
美容室廃業までにできること②事業譲渡
美容室として独自のノウハウや有力な人材などの価値を持っていれば、居抜き売却よりも高額で売却できる可能性があります。
美容室を事業譲渡する際はこちらのサイトを登録しておくことをおすすめします。
BATONZは、国内最大級の成約実績を誇るM&A総合支援サービスです。
売り手側には成約サポーターが無料で支援をしてくれます。
ただし、事業譲渡はあくまで買い手にとってその美容室が市場価値を有していることが前提なのでその点には注意するようにしましょう。
美容室の売却・譲渡に関して興味のある方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧いただければと思います。
【保存版】美容室を譲渡・売りたい場合の平均相場を徹底調査!契約書についてもポイントを解説
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は美容室の廃業理由と廃業の手続きについて紹介させていただきました。
これから開業するという方は、廃業理由に当てはまらないように。廃業を考えている方は廃業の手続きとその後について参考にしていただければ幸いです。