美容室を開業ってお店を建てるだけでなく、人件費や設備費、その他備品など結構お金がかかります。
そこで、役に立つのが補助金・助成金です。補助金・助成金を申請することで美容室開業時にかかる費用を負担してくれます。国によって用意されているお得な制度を使わない手はないですよね。
下記のような悩みを持っている人はぜひ最後まで記事を読んでください。
- 補助金・助成金制度ってなに?
- 美容室を開業するのにどのくらいの費用がかかるの?
- 補助金・助成金をもらうために何の準備が必要なの?
この記事を読めば、補助金・助成金とは何か、どうやったら申請できるのかが分かりますよ。
目次
そもそも補助金・助成金とは?
補助金・助成金とは、国から労働者の雇用環境の改善や地域経済の活性化を目的として支給される返済不要のお金のことです。
支給元 | 財源 | 募集頻度 | 申請期間 | 支給要件 | |
補助金 | 経済産業省 | 税金 | 年に数回 | 1か月ほど | 審査に通ると受給可能 |
助成金 | 厚生労働省 | 雇用保険料 | 随時 | 半年や通年 | 条件を満たせば必ずもらえる |
補助金は、申請期限が決められており、期限内に申請して審査に通ったもののみが支給されます。
一方、助成金は、条件を満たしていれば申請すると必ず支給されます。また、助成金の種類によっては毎年受給が可能なものもあるんです。
しかし、助成金は毎年内容が変わるだけでなく、申請手続きの内容が複雑なため申請から支給されるまで時間がかかるというデメリットがあります。申請前にしっかりと最新情報を調べておく必要がありますね。
美容室を開業するときの初期費用はいくら?
一般的に美容室の開業にかかる初期費用は約1,000万円と言われています。
もちろん、立地や美容室のデザイン、設備機器によっても変わってきますが、1,000万円もしくはそれ以上の費用がかかることを念頭に置いておかなければなりません。
<費用内約>
物件取得費用 | 前家賃・敷金・礼金・仲介手数料 |
内装工事費用 | 内装工事費用 |
美容器具 | スタイリングチェア・シャンプー台・鏡・トリートメントやパーマの専用機材・ドライヤー |
設備費 | パソコン・洗濯機・レジ・電話・ワゴン・冷蔵庫・テーブル・いす |
材料費 | シャンプー・トリートメント・カラー剤・タオル・イヤーキャップ・オイル |
広告宣伝費 | ウェブサイト作成&運用費・広告掲載費・チラシ |
運転資金 | 家賃・水道代・宣伝広告費・通信費 |
家賃や内装工事費用だけでもかなり高額に感じますが、美容室は美容器具など備品にも多くの費用が発生します。
美容室を開業するオーナーの好みやこだわりによっていくらでも高額になる可能性がありますよね。やっとの想いでの開業ですから自分好みでありながらお客さんにも快適に過ごしてもらえるような美容室にしたいと思うのは当然のことです。
そのためにも美容室を開業する上で、補助金・助成金は欠かせないポイントといえます。
美容室を開業するときに使える補助金・助成金は?
美容室を開業するときに使える補助金・助成金には、補助金は3種類、助成金は2種類あります。
それぞれ何に対する補助金・助成金なのか紹介します。
補助金①小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金の一般型はホームページやパンフレット、チラシなどの宣伝活動だけでなく、店舗の改装にも使える生産性向上に役立つ補助金です。
美容室では、お店の存在を知ってもらうためのチラシの作成・配布だけでなく、客層の新規開拓事業を行うにあたってかかる宣伝費や備品経費にも小規模事業者持続化補助金が使えますよ。
一定の事業性が国によって認められると最大で50万円の補助金が支給されます。
一般型は従業員20人以下のものに適用され、補助率は2/3ほどです。
複数の事業者で共同事業を取り組む場合は「1事業者あたりの補助上限額50万円×事業者数」が上限となります。
低感染リスク型は、従業員数20人以下の事業者がポストコロナに向けた新たなビジネスやサービスを始めるのを支援するために作られたコロナウイルス対策措置のひとつです。
補助額の上限は100万円で補助率は3/4ほどです。
宣伝活動から改装など幅広いジャンルで使用できる助成金なのでおすすめですよ。
<申請方法>
- 小規模事業者持続化補助金の公募を読む
- 「経営計画書」「補助事業計画書」を作成する
- 「経営計画書」「補助事業計画書」の写しを地域の商工会議所に提出し「事業支援計画書」を発行依頼
- 「事業支援計画書」を受け取る
- 「小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書」「経営計画書兼補助事業計画書①」「補助事業計画書②」「事業支援計画書」「電子媒体(USBメモリ等」「確定申告書」を締切までに郵送または電子申請する
- 採択通知が来たら交付申請をする
- 実績報告書を提出する
<2021年度[一般型]公募スケジュール>
- 第6回締切:2021年10月1日(火)17:00
- 第7回締切:2022年2月4日(金)
小規模事業者持続化補助金のお申込みはこちらから
補助金②ものづくり補助金
ものづくり補助金は中小企業に対して新製品・サービス開発、宣伝、広告の費用のための補助金です。
美容室では、新しい商品やメニューの開発、宣伝、広告のために使えますよ。
流行りによる移り変わりの激しい美容業界にとって欠かせない補助金ですね。
補助金の支給額は、100万~1,000万円となっており、補助率は中小企業で1/2、小規模で2/3ほどです。単価50万円以上の設備投資が必要で、割引額が大きい分、他の補助金よりも審査が厳しいといわれています。
審査通るか分からないし・・・と申請するか迷っている人はダメ元でも提出することをおすすめします。通る可能性があるのに申請していなかったら損ですからね。
<申請の流れ>
- ものづくり補助金の公募を読む
- gBizIDプライムアカウント取得
- 電子申請システムにログインして事業計画書を入力、送信
- 採択通知が来たら交付申請する
- 補助事業を実施し実績を報告する
<2021年度公募スケジュール>
- 第6次締切:5月13日(木)17:00
- 第7次締切:8月17日(火)17:00
ものづくり補助金の申請はこちらから
補助金③IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業の業務効率化を目的としたITツールやシステムの導入を促進するための補助金です。
美容室ではPOSレジの導入の際に使えますよ。
そのため、申請時に1年後の生産性伸び率3%以上にするための目標提示なども義務化されています。A、B、C型の3つに分かれており、型によって補助金が異なります。
A型とB型は補助金申請額によって分かれており、A型は「30万円以上150万円未満」、B型は「150万円以上450万円以内」です。
C型はコロナウイルス対策のための特別枠で、事業への影響に対する対策や拡大防止に取り組んでいる事業者がITツールを優先的に導入できるよう支援するために作られ、補助金申請額は「30万円以上450万円以内」となっています。
補助率は最大で1/2となっているためぜひ支給を受けたい補助金ですね。
システム代は何かと高くつきがちなので少しでも負担額が減ると助かりますよね。
しかし、IT導入補助金の採択率は3割程度です。
制度を使っている企業の半数ほどが従業員20名以下となっており、補助額が少ないためA型の方が審査に通りやすいです。
<申請の流れ>
- IT導入補助金の公募を読む
- 事業者・ツール検索から自社に合った事業者とツールを選択する
- gBizIDプライムアカウント取得
- 自社で決定したIT事業者と共同で交付書類を作成し提出
- ITツールを契約し支払いを行う
- 事業の実績方法で行う
- IT導入補助金交付手続き
- 結果報告を行う
<2021年度[A・B型]公募スケジュール>
IT導入支援事業者の登録申請:2021年3月25日(木)~2021年6月30日(水)17:00
- 第一次締切:5月14日(金)17:00
- 第二次締切:7月30日(金)17:00
- 第三次締切:9月中(予定)
IT導入補助金の申請はこちらから
助成金①トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、就業経験が少ないため就職が困難な人や1年以上離職していた人を一定の使用期間を経て雇用するともらえる助成金です。
最大で1人当たり4万円支給されます。支給要件を満たしていれば必ずもらえますよ。
常用雇用する前に試用期間で労働者の適性を見ることができるのと、産休や育休で離職していた人を雇うこともできるので雇用者にも労働者にもメリットのある制度です。
才能に溢れている人を採用できるかもしれないですからね。
<申請方法>
- 厚生労働省の公式サイトから必要書類をダウンロードして記入する
- 対象地域のハローワークに書類を提出する
- ハローワークから紹介された求職者と面接し雇用契約を結ぶ
- 実施計画書を提出する
- 支給申請書を提出する
トライアル雇用助成金の必要書類はこちらから
助成金②人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
人材確保等支援助成金は人事評価制度や教育訓練など職場環境の改善を目的とした取り組みを行い、従業員の離職率を低下させることで得られる助成金です。
美容師の育成に力を入れることはお店の実力アップ、お客様の信頼へもつながるため職場環境の改善だけでなく、美容室自体のさらなる向上のためにも必要な制度ですね。
離職率低下を達成できた場合は57万円、生産性要件を満たした場合は72万円支給されます。
要件ごとに支給額は変わりますが、要件を満たしさえすれば受給可能です。
職場環境の見直して集客を見込めるだけでなく、助成金ももらえるのでまさに一石二鳥の制度ですね。
<申請方法>
- 雇用管理制度整備計画書を作成し管轄の労働局に提出する
- 雇用管理制度を実施する
- 目標達成助成の支給申請をする
- 要件を満たしていると助成金が支給される
人材確保等支援助成金の必要書類はこちらから
美容室開業の補助金・助成金をもらうために必要な準備は?
美容室開業において補助金・助成金は欠かせない準備のひとつですよね。
ただし、国から返済なしで多額のお金をもらえる制度のため、申請書類の数が多く、複雑です。少しでも書類に不備や不足があると支給対象から外れてしまうので慎重に行う必要があります。
特に補助金は申請期間も短いため、事前の準備が必須です。
<申請に必要な書類>
- 各種申請書類
- 賃金台帳
- 雇用契約書
- 就業規則
- 事業計画書
- 経費明細書
- 事業要請書
- 交付申請書
- 経費の相見積もり
その他にも申請する補助金・助成金によって用意する書類も変わるためその都度公式ホームページから確認する必要があります。
準備する書類の数が多いので早めの行動が大切ですね。
まとめ
美容室を開業するには多額の費用がかかること、補助金・助成金によって返済なしで国がお金を負担してくれることが分かりましたね。
国が負担してくれる補助金や助成金以外にも、地方自治体がやっている補助金・助成金もあるので各自治体のホームページから確認してみましょう。
美容室の開業の前後は特に忙しいとは思いますが、補助金・助成金は活用すべき制度です。
公式ホームページに締め切りや応募期間、申請方法、必要書類など詳細が書かれているので実際に申請する項目が決まったらまずは公式ホームページから確認するようにしましょう。
特に補助金は応募期間から締め切りが短いため、要チェックですよ。
みなさんもしっかり下調べをして確実に補助金・助成金を活用しましょう。